
今回は、最近心に深く残っているエピソードをお伝えさせていただきます。
長文となりますが、最後まで読んでいただけますと幸いです。
ある金曜日、病院の退院支援員の方より、
「ご自宅で過ごしたい」と強く希望されている患者さまについて、訪問診療のご依頼をいただきました。
病状から考えても、残された時間は決して長くはない状況でした。
「できるだけ早く帰してあげたい」
その想いを受け、医師と相談しながら診察枠を調整し、週明けすぐに訪問できるよう準備を進めました。
週明け火曜日に退院が決まり、前日の月曜日にご家族様と契約のお約束をしていましたが、
その月曜日の朝、病院から「病状が急変し、ご自宅に戻ることが難しいかもしれない」と連絡が入りました。
ご家族様からも「どうしたらいいでしょうか」とご相談をいただき、
その言葉の端々から、不安なお気持ちが伝わってきました。
それでもご家族様は、ご本人様が帰ってこられる可能性を信じ、
介護ベッドや医療機器の準備を進めておられました。
私たちも「もし帰ってこられたときに、万全の状態で迎えられるように」と考え、予定通りご自宅へ伺いました。
ご家族様は、
「帰ってきてほしい」という願いと、
「移動中に何かあったら」という現実的な不安の間で、揺れておられました。
その中で、私たちにできたことは、
「いつでも帰ってきて大丈夫なように準備が整っている」という安心をお伝えすることでした。
「大丈夫、いつでも迎えられるように準備はできています」
その言葉が、ほんの少しでも支えになっていればと願うばかりでした。
そして火曜日の朝、
ご家族様より「昨夜、息を引き取りました」とご連絡をいただきました。
深い悲しみの中でのお電話でしたが、
「帰れるか分からない状況でも、皆さんが準備をしてくれていたことが本当に心強かったです」
とお言葉をいただきました。
さらに、「本人も最後まで『家に帰るために頑張る』と言っていました」
と教えてくださいました。
ご本人様にお会いすることは叶いませんでした。
それでも、「帰りたい」と願うお気持ちと、それを支えようとするご家族様の想いに、
ほんの少しでも関わることができたことを、私たちは忘れることはありません。
この経験は、私たちにとっても決して小さなものではなく、
「支える」ということの意味を、改めて考えさせていただく機会となりました。
これからも、一人ひとりの想いに寄り添い、
その方らしい時間を少しでも支えられるよう、丁寧に関わっていきたいと思います。




