アーチクリニックはこの理念を掲げ、在宅医療に注力したクリニックとして開業しました。一人一人の患者さんが「望む生き方」ができるようクリニックスタッフだけでなく、ケアマネージャー、訪問看護師、地域の拠点病院などとも連携し、サポートさせていただきます。
私がまだこのアーチクリニックを開業する前に担当していた患者さんの中で、この理念への想いをより強いものにさせてくださった方がいました。
訪問診療で伺うと、いつも身なりをきれいにされているおしゃれな方で、旦那さんととても仲睦まじい、笑顔の素敵な女性患者さんでした。
私がクリニックを開業することを伝えると「私を先生のクリニックの一番はじめの患者にしてね」そう言ってくれました。
彼女は癌を患っていました。手術はできず、抗癌剤も副作用のため思うようにできず、日に日に体力は落ちていきました。
彼女の希望は”体力が落ちて具合が悪くなっても、最期まで旦那さんといつもの家でいつも通りの生活をおくりたい”ということでした。
そしてもう一つ、”旦那さんのことをよろしくね”と。
彼女が望む生き方をサポートするため、クリニックとして定期訪問診療はもちろん、不安な時に電話相談を受けたり臨時往診を行いました。ケアマネージャーは適切な介護ケアプランニングを行い、訪問看護師も24時間対応し、訪問リハビリも行いました。
そして旦那さんは常に献身的な介護をされていたと思います。
亡くなる直前まで、旦那さんといつもの家で穏やかに過ごされていました。
そして最期の時、旦那さんに「ありがとう、ありがとう」と伝え、いつもの家で息を引き取りました。
彼女はアーチクリニックの患者番号1で、旦那さんもまた当院で診療を受けています。
彼女のように、最期まで望む生き方ができる方が少しでも増えるようサポートしたい。そしていつかはこの地域に住む誰もがそういう生き方ができるようにしたい。アーチクリニックはその想いを強く持ち診療に臨んでまいります。
患者さんとご家族を中心に、より良い人生、より良い最期について共に考え、共に歩んでいきます。
院長 関根 一真
(せきね かずま)